つながってる

私の人生に少なからず多大なる影響を与えた映像作品、

ダニエル・シュミットさんが監督した大野一雄さんの短編映像「KAZUO OHNO」。 

前作「tig☆hugちぐはぐ」を作る過程で確か、主人公の舞踏家の祖父というキャラクターを生き生きと書く為に参考資料として沢山の大野一雄さんの書籍やDVDを購入した中にこの作品が確かあって拝見したのですが、その時の衝撃は今でも覚えています。

セリフのない、15分ほどの映像が、あまりにも美しく、そしてラテンの音楽と埠頭の環境音(波の打ち寄せる音や、大野さんの足が水にあたりピチャピチャと鳴る音、朝の外の奥行きある空気感、そして意志を持った踊り)が合間って、私は理由が分からないままずっと涙が止まらず嗚咽したのを覚えています。

なんなんだろうって思って、理屈が分からない、なんで自分はこんなにも感動しているのか、、、めちゃくちゃ心を動かされている。頭はもう処理が追いつかず、

そして、自分はこういう頭では理解できなくても涙してしまう何か圧倒的な表現というものを、できるか分からないけれど映画の中に入れたいって思ったのが「tig☆hugちぐはぐ」でした。

そんな風に自分に影響を与えた映像に、その製作過程の未使用フィルム「ダニエル・シュミット、レナート・ベルタ撮影による未使用フィルム」が存在し、それが観れると知り「国際ダンス映画祭2019」へ。

そして…なんと!「KAZUO OHNO」は坂東玉三郎さん主演の「書かれた顔」の為に撮影され、その一部と、そこに入らなかった映像群だったという事実を知り衝撃。

その映像を愛知芸術文化センターさんが資金援助して映画にまとめられたという事を知り、

この映像群を作品として世に残して下さってありがとう!!と心の中で叫びました。

やっぱり素晴らしい作品て、誰かが残さなきゃ!って思うんだなぁと、しみじみ。

そして、映画「書かれた顔」、素敵でした。

1995年に製作された作品なのかぁ、自分が美大生の頃だと思うと、もっと当時の自分の嗅覚がするどければ、この撮影現場お手伝いに行きたかったなぁなんて、、、思ってしまった。

当時の自分は八王子の校舎で人生を模索していたな、、、


初見でしたが、すごく不思議な構造で、最初インタビューみたいなものから始まり、坂東玉三郎さんのドキュメンタリー的な空気感の中に杉村春子さん、武原はんさんたちのインタビューがあり、その中に、「Twilight Geisha Story」という芸者の女の物語のような短編が入っているのですが、これがまた、艶っぽくて素敵でした。

坂東玉三郎さんが本当に女性。

屋形船の中で、若い男性2人(宍戸開、永澤俊矢)との交わす視線が秀逸で、恋したくなります(笑)そして玉三郎さん、本当に女性をよく観察されているんだなぁと感動しました。

会場には昔から大野さんの元にいらした溝端俊夫さん(有限会社かんたの社長様)がトークゲストとしていらしていて、映画「書かれた顔」がどのように依頼されたかなどの経緯が聞けて興味深かった。

そして、当初の目的だった未使用フィルム「ダニエル・シュミット、レナート・ベルタ撮影による未使用フィルム」も鑑賞。撮影前に脚本が全く存在しなかったという映画「書かれた顔」がどのように構成されていったか、少しだけ感じる事ができて面白く、来てよかった。

そして「書かれた顔」の助監督さんは青山真治さんだったという事を知り、青山さんすごいなぁと、すごい人は若い頃にすごい人に出会っているのだなぁ、引き寄せられていくんだなぁとなんだか実感したのでした。

そうそう、引き寄せられると言えば、会場には大野さんが初めて?海外で舞踏公演に行った時の集合写真が飾られていたのですが、たまたまその公演をダニエル・シュミットさんが見に来ていたそうで、集合写真に写っているそうです。

人生には、そういう事があるんですね。

#大野一雄

#kazuoohno